小説
『青い同窓会』 1/3
 駅から少し歩いたところにある割烹旅館は昔の民家を改造したフラットな造りで、木□調を生かしたその佇まいは端整でなかなかオシャレでした。玄閑をくぐり、仲居さんに通されるまま廊下を歩くと、奥まった座敷にはもうみんな集まっています.私の姿を見止めた誰かが、 「ああ、来た木た、ほらこっちこっち…」 と云っているのが聞こえます。声に促きれるまま座敷の中に足を踏みいれた私は、座敷の隅に空いていた千近な処に腰を下ろすと、 「ホッ…」 と息をついて回りを見回しました。 卒業してからはこれが初めての同窓会です。全ゼミ合同の同窓会でしたから参加者も多いし、こうして懐かしい顔が並ぶと気持ちもウキウキして、学生時代にタイムスリップしたようなちょっと不思議な感覚です。 ふと横を見ると見覚えのある顔もあります。 「あれぇ?もしかして、木村君?」 と云うと、はにかんだようにニヤッと笑ったその笑顔は、確かにあの木村君です。 学生時代の木村君は特別目立つ方ではなかったし、私ともそんなに親しいというほどでもありませんでしたけど、同学年の女の子達には妙に人気があって気になる存在だったし、ゼミの違う私も何となく意識してた からよく憶えていたんです。 スーツにネクタイ姿の木村君はもうすっかり大人びた感じで、社会人然としたその様子は学生時代とは別人ようでした。でも、ハツラツとした清潔感はあの頃のままだったし、健康的で浅黒い肌は精悍な感じで、何かとてもステキに思えたものです。 木村君の向こうに座っている三浦君や堀田君とかはよく知った顔だし、そのむこうには伊藤アキとか工藤真理子とか女の子達の姿もあります。 笑顔をかわしながら一通りの挨拶をすませるとお互いのグラスにビールを注ぎ、幹事さんの音頭で乾杯が終わるとあとは無礼講です。  久しぶりの再会だったこともあって何となくギクシャクしていた場の雰囲気も、お酒が入るに連れて和んだ空気に変わっていって、次第に打ち解けたみんなは思い思いに席を移動してお酒を酌み交わしたり、ワイワイ云いながら好き勝手な話に興じたりしています。  私はといえばもっぱら木村君と盛り上がっていました。話も弾んで、彼に勧められるままお酒も大分いただき、慣れないお酒に身体の芯がホワッとして顔が赤く火照り始めた私は、 「フゥーッ…」 と熱い息を吹くと、楽しそうに談笑する同級生達の様子を目で追いながら木村君のグラスにビールを注ぎました。  溢れたビールの泡がグラスからこぼれて木村君のジーンズに垂れまた。 慌てた私は、 「あ!あらーっ!ごめんねぇ…」 と声を上げながら□を上げながらハンカチを取り出しました。 泡が垂れたのは胡座をかいた両股の真ん中です。ジーンズの前が濡れて、おしっこを漏らしたみたいです。. 手にしたハンカチで濡れたジーンズの前を拭うと、顔を赤らめた木村君は、 「い、いやいや、平気、大丈夫だよ…」 と、腰をもぞもぞさせています。 ハンカチで拭っていた部分がこわばっているのに気付いたのはその時です。 オチンチンの部分が膨らんでいるんです。 ハッとして顔を上げた私の目と木村君の照れくさそうな視線が絡みました。 思わずドキッとした私は回りの様子を窺いました。 座敷の隅にいた私達は同級生達の輪から外れていて、私の触れている木村君の部分も、丁度の下に隠れているし、回りのみんなは自分達の会話に夢中で、そんな私たちの様子に気付く風はありません。
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