小説
『いたずら電話』 2/4
(続) アソコを濡らしたおつゆが涎みたいに垂れて、ベトベトに濡れた指とその部分が擦れてクチャクチャと音を立てているのが分かります。耳元には受話器の向こうから聞こえてきた男性のあのいやらしい喘ぎ声が残っていて、それが頭の中をエンドレスのテープレコーダーみたいにグルグルグルグル回っているんです。私は狂おしい興奮に声を上げながら、もう夢中で手と腰を使っていました。  おつゆにネットリと濡れた指先をアソコに挿入しました。熱くなった頭の隅で、(私、どうしちゃったんだろう…) とか思ってはいるんですけど手だけが勝手に動いてしまいます。アソコに出し入れしている指先の動きもどんどん早くなって、濡れた部分が擦れてクチョッ、クチョッと恥ずかしい音を立てているのです。  もう昇りつめる寸前でした。大きくなったクリトリスを掻き毟るように擦り回すと、ついさっき、受話器の向こうで喘ぎ声を上げていた男性の性器がお腹の中で暴れまわっているみたいな、そんな気分になってしまいます。どうしようもなく興奮した私は、思わず、 「むうっう、むは、ああ、いやぁぁ」 と、そんな声を上げていました。そして夢中で腰を揺すりながら果てたのです。太股が痙攣して膝が突っ張り、足の指が反りかえるのが分かりました。久しぶりに味わった絶頂感でした。  次の日も電話が  その日、電話がなったのは勤めから帰ってドアを開けるか開けないかの時でした。抱えていたバックを放り出すようにして電話に駆け寄り受話器を上げると、 「は〜ぁぁ、はぁぁぁ、きっ、気持ちいいよぅ…」 隠ったような喘ぎ声が耳を突いたのです。昨日と同じ声でした。  もう掛かってこないだろうとたかを括っていたから、どうしたらよいのか分からず、手にした受話器を耳に当て続けるのを躊躇しました。だからといってすぐに置くこともできずに立ち尽くしていた私は、結局受話器を握りしめ、聞こえてくる声にジッと聞き入っていたのです。  男性は私がすぐに電話を切ろうとしないのを確かめると、ゴトゴトと受話器を動かしました。あの喘ぎ声が聞こえなくなって、その代わりに、濡れた物が擦れるような湿った音が、クチャ、クチャ、クチャッと聞こえてきます。  今、その男性が何をしている最中なのかは、そのいやらしい音を聞くだけで大方の想像がつきます。自分の股間に受話器を近づけて邪な行為に耽っている男性の気配に耳をそばだてていると、感極まったように喘ぐその男性が、 「あはぁぁぁ、紀子さん……」 と呟くのが聞こえたのです。ひどく狼狽した私はその場に凍り付いたように竦んでいました。どうして知っているのか、事もあろうに私の名前を呼んでいるのです。  こんな破廉恥な行為に耽る変態男が知り合いであろうはずもありません。しかし、見ず知らずの男性が私の名前をどうして知っているのか、知り合いでなければそれをどうやって調べたのか、それは頭の中が真っ白になるほどのショックでした。  電話だったし、こうした行為に耽る男性から距離を置いているように思っていたのは錯覚でしかなかったのです。何処の誰とも知れないその男性とのkl距離が突然縮まって、何もかもが現実のこととして迫ってきました。そして、思いもかけない現実に晒された私は、突然裸に剥かれて路上に放り出されたような心細さの中にたたずんでいたのです。  男性はそんな気持ちの動揺を見透かしたように、 「紀子さん、ボクはいつもあなたの近くにいるんだよ…」 と思わせぶりに云うと、今度は追い打ちをかけるように、 「は〜ぁぁ、紀子、チンポが気持ちいいょぉ…」 と、耳を覆いたくなるような卑猥な言葉を囁くのです。そのおぞましさに朦朧となった意識の中で自分自身を失った私は、淫蕩な催眠術師の術にかかったようにその声を受け入れるしかありませんでした。  受話器の向こうでは指先と性器が擦れ合うときのあの湿った音が続いています。ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッと耳を突くいやらしい音に混じってフーフーハーハーと掠れた男性の息づかいも荒くなっていきます。  やがて、喉の奥から絞り出されるような切羽詰まった声が耳元に響きました。 「は〜ぁぁ、はぁぁぁ、い、い、いくぅぅ、のっ!紀子…ぉっ、おまんこぉ、ひろげてぇ…」  その甲高い、そして、狂おしい快感に追いつめられた声に誘導された私は思わず膝の力を緩めていました。そして、熱いおつゆに濡れた内股を一杯に広げていたのです。
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